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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第10章 花いかだ 其の参

 弥助が美空の言葉をそっくりそのまま伝えると、おれんは絶句した。
「―嬉しい」
 愕いたことに、おれんは泣いていた。
 大粒の涙が溢れ、次々と白い頬をつたい落ちてゆく。
「良い娘さんね。弥助さんがきちんとお育てになったことがよく判るわ」
 おれんはしみじみと言うと、人さし指で流れる涙をぬぐった。

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