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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第10章 花いかだ 其の参

 ふと頬に冷たいものを感じ、弥助は眼を瞠る。よくよく見れば、吹雪のように舞い踊っていた花びらがいつしか雪に変化(へんげ)していた。
 雪はひらひらと舞い、弥助の上に降りかかる。満月に煌々と照らし出された満開の枝垂れ桜と、桜に降りかかる純白の雪。
 それは世にも奇妙な光景で現実離れしている。しかし、不思議と弥助の心
には感銘にも似た想いが生
まれていた。

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