『花は月明かりに濡れて～四つの恋の花～』第11章「四つめの恋花　山茶花～さざんか～　其の壱　」　657ページ

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花は月明かりに濡れて～四つの恋の花～

第11章四つめの恋花　山茶花～さざんか～　其の壱　

　また、やたらと昔は羽振りが良かったのだと、過去の自慢や手柄話ばかりするのも嫌いだった。もっとも、夜鷹という商売柄、客の話には、えてして、そのような過去の自慢話をしたがる輩が多く、そんな男たちには愛想笑いを浮かべ適当に相槌を打ちはする。だが、内心では、過去の栄光にしか縋ることしかできぬ男の不甲斐なさを軽蔑していた。