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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第11章 四つめの恋花 山茶花~さざんか~ 其の壱 

 父籐兵衛は八つで那須屋に丁稚として奉公に入った。当時から読み書き算盤も衆に抜きん出ており、先代―つまり千汐にとっては祖父に当たる籐治郎は父の将来に大いに期待していたという。丁稚から手代、手代頭、番頭へと順当に出世し、当然のように、一人娘のお登勢の聟にと望まれた。

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