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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第12章 山茶花~さざんか~ 其の弐 

「風邪を引くぞ」
 ふわり、と、肩から温かなものがかけられた。男が自分の着ていた綿入れの羽織を着せかけてくれたのだ。千汐は、一糸纏わぬ裸であった。
「あたしなんかに優しくしてくれるのね」
 千汐が振り向くと、男が笑った。
 心がほんわりと温かくなるような、邪気のない笑顔だ。

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