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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第12章 山茶花~さざんか~ 其の弐 

 千汐はするりと男が着せかけてくれた羽織を肩から落とした。千汐の白い身体が露わになる。
 男が眼を見開いた。ゴクリと唾を飲み込む音が静けさに満ちた部屋内にやけに大きく響く。男が再び手を伸ばしてこようとすのを、千汐はすっと後ずさり、逃れた。
 不審そうな男の前で、千汐は腕と脚に巻いた包帯を解いてゆく。
 いくばくかの後。
 千汐は、醜く爛れた患部を男の眼前に付突き出した。

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