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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第12章 山茶花~さざんか~ 其の弐 

 男が千汐を抱きしめ、やわらかく褥の上に押し倒してゆく。
 緋色の褥の上で、千汐は瞳を固く閉じた。 瞼の中には一輪の花がやれていた。
 あるときは、それは淡紅色の山茶花であったり、春にひらく桜であったりする。
 様々な四季の花が、千汐の瞼の中で花ひらき、散っていった。
 千汐はもまた花になる。男の腕の中で花ひらき、男によって幾度も花びらを散らされた。

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