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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第12章 山茶花~さざんか~ 其の弐 

 こんなにも恋が切ないものだと知っていたなら、ただ遠くから見つめるだけにしていたのに―。
 出逢ってしまったから、触れ合ってしまったから、心が切ない。
 あの男に逢えない夜は、胸が疼く。身体の疼きよりも、心の疼きの方が辛かった。
 しかし、稼がねば、明日どころか今日という日を過ごすこともできない。胡乱な男に犯されたことは、千汐にある意味で開き直りを与えた。

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