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　心から愛する男の子を授かったのだ。
　これで、あの男を待つことが出来る。
　この子を立派な一人前の人間に育てることが何よりの生き甲斐となるだろう。。
―この子は、あたしとあなたの子です。
　そう胸を張って心から言える日を思い描けば、あの男を待つ時間も少しも淋しくはない。
　すべてのものを失い、吉原に身を沈め、更に因果な病まで背負ったときは宿命(さだめ)を恨めしく思ったが、今度ばかりは、曽太郞の子を授けて下された御仏に、宿命に感謝せずにはいられない。