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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第13章 山茶花~さざんか~ 其の参  

「たとえ何不自由ない暮らしをしてても、むやれ妾の子だ、芸者の子だって後ろ指指されるのが厭でね。今から考えれば随分と贅沢な話だと思うけれど、世間を知らない十七の小娘は妾になった母親にも、助平根性出して妾を囲うような父親にもほとほと厭気がさしてたんだ。親に反抗するつもりで、夜な夜な家を抜け出しては、町に出て男を引っかけた。どうせ、あばずれ女が母親なら、娘のあたしもあばずれで丁度良いってな具合でね」

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