
花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第13章 山茶花~さざんか~ 其の参
「この傷痕も含めて、千汐ちゃんは十分すぎるくらい魅力的さ」
優しい手がまだ千汐の頬を撫でる。
ここにもまた、千汐の傷痕をきれいだと言ってくれる人がいる。
千汐は嬉しくて、涙が溢れた。
「ねえ、厚かましいお願いだと判っているんだけど、あたしにもしものことがあったら、真平を頼めるかしら。あたしにはもう帰る場所もないし、こんなことお願いできるのは、おつなさんしかいないの。おつなさんの家で使い走りでも何でもさせて働かせてやって」
優しい手がまだ千汐の頬を撫でる。
ここにもまた、千汐の傷痕をきれいだと言ってくれる人がいる。
千汐は嬉しくて、涙が溢れた。
「ねえ、厚かましいお願いだと判っているんだけど、あたしにもしものことがあったら、真平を頼めるかしら。あたしにはもう帰る場所もないし、こんなことお願いできるのは、おつなさんしかいないの。おつなさんの家で使い走りでも何でもさせて働かせてやって」
