新婚生活?
第12章 思わぬライバル
…がちゃっ。
物音がしたから、なんとなく和也かなとか思って、重たい瞼を開けると、
「…おかえり。」
と呟いた。
「あ、わりぃ、起こした?」
普段とは違う、なんか切羽詰まったような口調で、
告白されたのかな?とか思って、
上半身を起こして顔色を覗く。
君はベッドの端に座って、私の方を向いた。
「…、お前さ、実織ちゃんのことで、悩んでたんでしょ。」
目が泳ぐ。
「今日、告白されるってことも知ってたでしょ?」
…うつむいてしまう。
「なんで、付き合ってるって言わなかったの?あいつに。」
直接的な言葉が、胸に詰まる。
「付き合ってるように、見えないって。」
「…え?」
「友達みたいって言われたの。」
だから、私は、言えなかった。
「それが?」
思わぬ言葉に、思わず顔を上げた。
「俺も、蘭奈も、お互いがお互いを好きなら、いいじゃん。」
なにかが、込み上げてくる。
そう思った瞬間、
涙が落ちた。
ふわっ、と暖かい感触に包まれる。
「俺は、ちゃんと蘭奈が好きだから。だから…
蘭奈も自分に自信持てよ。」
涙がとめどなく頬を伝って、
布団に印を付ける。
「泣き虫。」
いつも通りの口調でそういうと、
最後の一筋を、舌ですくって舐めた。