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陽だまりの仮面 -嘘-

第10章 初デート

よしっ!!


右手にグッと力を入れ、フォークを握る。

クルクルと器用にパスタをフォークに巻き付けるも、緊張から無駄にクルクルクルクルフォークを回してしまう、あたし。


一口分が綺麗にフォークに巻き付いたパスタを持ち上げ




……ドキドキドキドキ………




逸る気持ちを抑えながら



「じゃ、じゃぁ行くよ?!」



「フッ。

どうぞ?」



軽く笑って、今まで以上に口を大きく開けてパスタを待つ花木君。


いざ、“どうぞ?”と言われると緊張するもので。


恥ずかしさ。

照れ臭さ。

緊張。



あたしの心臓をバクつかせるにはこれ以上ないだろう要素を持つ、今この瞬間。


フルフル震える手でフォークをゆっくりと花木君の口元へと運ぶ。





ドキドキ……





世の女性共は、初めて好きな人に“あ~ん”する時はこんな気持ちなんだろうか。

もっと軽いノリでやっちゃってるんだろうか。

まるで、バレーのトス練習の如く

「行くよ~」「はいよ~」

的なノリなんだろうか。


などと高速であれやこれやと考えながら、花木君の口の中へとパスタを運ぶ。







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