
陽だまりの仮面 -嘘-
第11章 手に届くのに・・・・
――――――ハァ……。
ダメだ。
何をしてても思い出してしまう。
何をしてても考えてしまう。
“美樹…”
滅多に人を名指しで呼ばない彼が。
滅諦に人を“さん”付け意外で呼ばない彼が。
滅多に表情を変えない彼が
目を見開いて、名指しで呼んだ
“美樹”。
そんな彼を見つめ、優しく笑い
“愁”
と呼んだ、彼女。
2人の絡まる視線の中心で、胸の奥がズキンと痛んだ、あたし。
その時の光景が脳裏に焼き付いて離れなくて
「琉愛!!お前そこでウジウジと邪魔なんだよ!」
「ふんっ」
リビングのソファの上に体育座りして
THE いじけ虫。
