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　入学式前日。入寮する新入生はだいたいこの日に寮へやってきた。親の都合で２日早く入寮していた僕は、期待に胸を膨らませて、田島礼二（たじま　れいじ）という同室者を待っていた。

　部屋のドアがノックされ、ドアを開けると、いかにもスポーツマンという感じのがっちりした体型の男が立っていた。
　初めましてと挨拶する前に、その男は大きな声で言ったのだ。
「お前、女？女がなんでここにいんの？」
　ムカッツ
　怒りで思考が固まる。
　しかも、その男、図々しくもその後、初対面なのに、よりにもよって、僕の下半身を触ったのだ。
「なんだ、男か」
　バチーン
　寮の廊下に気持ちの良いほど、乾いた音が鳴り響く。
　バーン
　次の瞬間、僕は部屋のドアを勢いよく閉めていた。