君に恋した冬
第4章 歪む心
クリスマスはみんなそれぞれ
予定があるだろうということで
イブにしか予定が入らなかった由梨は
元々この日を完全に持てあましていた
『特に、何もありませんけど…』
嫌みったらしく言わない時は
まだ、たどたどしさが残った喋り方になる
「コンタクト買いに行こうぜ」
『え…でも、眼鏡があるので』
「だから、その眼鏡がいらねーから言ってんの」
コンタクトなんて出来ない
ましてや、目に自ら何かを入れる行為は
由梨をゾッとさせた
『む、む、む、無理です!!』
「何その反応。漫画みたいでヤバい
ツボった」
小さく喉を鳴らしてアキラは笑った
由梨はなおも必死の形相で
『コンタクトなんて、ほんとに!
私絶対できません、無理ですっ』
いきなり消毒液のついたガーゼを
口元に当てられて
ピリッとした痛みが顔に広がる
『いたっ』
「うるせーよ。行くから。決定~」
有無を言わさせないアキラの表情に
由梨は抵抗するのを断念した
なんか、この人と話してると
調子が狂う…
いつしか自然とアキラのペースに
呑まれていく自分が不思議だった