君に恋した冬
第6章 高校生編スタート
程なくして由梨は高校生になった
入学当初はまだ加奈子とは
頻繁に会っていたが
お互い新しい環境で、新しい友達が出来
その頻度は少しずつ減少していき
あっという間に夏休みに入った
ミーンミーン…と蝉の鳴く声が
余計に暑さを感じさせる
だが、寒い冬よりは暑い夏の方が
由梨は好きだった
大智とは全く顔を合わせておらず
少しずつ由梨の中で
大智への想いが過去のものへと
変わりだしてきていた
アキラの部屋とさほど変わらない
木目調の殺風景な部屋で
ベッドから脚を投げ出して寝転がる
家には誰もいない
何もすることがない
人間、何かをしている時の方が幸せなのだ。
何も無いことほど恐ろしいものはない。
手持ち無沙汰だった由梨は
『バイト…しようかな』
そう思い立った時、静寂を遮る
ポピュラーな着信音が鳴り響く
携帯にはアキラの文字
由梨は気だるい身体を起こして電話に出た