君に恋した冬
第7章 大事なもの
もう帰ろう…
そう思って出て行こうとすると
アキラが浴室から出てきた
「え、帰んの?」
『うん…急に、ごめ…』
喋るとまた泣きそうになって、
口元を抑えて部屋を出ようとすると
強い力で腕を掴まれ引き寄せられる
そのまま抱きしめられる形になり
とうとう顔を見られてしまう。
「何があった?」
最初から何かあったことはお見通しだという口調に
つい先程の携帯が脳裏をよぎり、カチンとくる
『なんでもない…離して』
「無理。言えよ」
なんでこの人は…!!
『離してよ!!!』
今までにないぐらい大声を出してしまった。
少し後悔したが、一度溢れ出したものは止まらない
『あの日あんた達がいなかったら!
私は大智くんと結ばれてたのに!
あんた達がいたから…!!』