君に恋した冬
第7章 大事なもの
彼女がいるくせに
どうして私を抱くの
どうしてそうやって優しくするの
『あんた達さえいなかったら…
私は綺麗でいられた…』
もう止められなかった。
誰かのせいにしないと
自分を保てなかった
あの日、自分の弱さが原因で
取り返しのつかないことをしたのも自分で
全部自分のせいだって解ってた
だけど、止められなかった。
『あんたさえ…うぅっ、ううっ』
そんな由梨をアキラは強く抱きしめた
「ごめん…」
由梨の中で何かが弾け飛んだ
『ごめんって…何なのよ…』
先程までとは違い、力なく顔を俯ける
「由梨…由梨…」
アキラはひたすら由梨の名前を呼んで
強く抱きしめた
わからない…
わからないよ…アキラのその優しさが…
どうしてこんな私を
そうやって全部受け止めてくれるの…?
彼女がいるのに…