君に恋した冬
第8章 乱れる関係
それからというもの、浅井はことごとく由梨の話に返事をせず
由梨もまた、返事が無くてもさっさと次へと進め
就業時間が終わり挨拶もせずに更衣室へ走った
なんなのよあの人!!!
バンッと勢いよくロッカーを閉める
「ちょっと由梨!どうしたの?何か荒れてるね」
歩美が面白そうに話しかけてくる
歩美とはこのバイトで知り合い
ちょくちょく遊びに行ったりもして
仲のいい友達になっていた
『あの新人、すごく態度が悪いの。』
「え?浅井くん?」
『ずっと無視だし、失礼な事も平気で言うし、最低』
「そお?私には普通に喋ってくれたよ」
この言葉にさらにイラッとする
どーせ私は軽い汚い女よ!!
汚いとまでは言われていないが
やや自暴自棄になりながら考える
あとでアキラに言ってやろう
もうこんなのつけないでって言わないと…
「それよりさ!由梨今彼氏いる??」
ドキンッと心臓が飛び上がる
『ううん、いないけど…』
頭にはアキラの姿が浮かぶと同時に
大智の姿も浮かんだ
なんでアキラが…それより、返事…しないと
「そう!良かった!」