君に恋した冬
第8章 乱れる関係
「俺、あんたみたいなのすげぇ嫌いなんだよね」
『…!?』
カチーン。という吹き出しをつけたいほどに、由梨は頭に来た
『どうして初めて会ったあなたに
そんな言われ方しないといけないの!?』
思わず叫ぶ
客もおらず、カラオケ店だからこそ助かった
普通なら野次馬が何だ何だと見そうな光景だ
「それ」
浅井は由梨の顔付近を指さす
『…?』
「堂々とそんなもん見せびらかしてんじゃねーよ」
『!!!』
先程の美容院での一件を思い出し
思わず首を手で隠す
「俺、あんたみたいな軽そうな女、大嫌いなんだ」
『これは…!』
言い訳しようにも、何と言っていいのかわからず
関係のないことで言い返す
『私も、あなたみたいな失礼な人、大嫌いです!』
恥ずかしさからやや強めに言い放ち
前を向いて目を逸らす
ウィーンと扉の開く機械音が
客の訪れを告げ、この話はここで終わり!
と言わんばかりに接客に専念した