君に恋した冬
第8章 乱れる関係
もう泣いちゃおうかな…
なんて考えているといきなり首に
チリッとした痛みが襲う
『…っ!』
顔を起こすと、アキラが腫れた傷に
消毒液のついたガーゼを押し当てていた
「我慢しろ。この時期汗かくから、しっかり消毒しとけ」
『…うん』
アキラは優しい…
あぁもうだめ。泣いちゃう。
堪えきれずに涙が溢れた
『うぅっ…ぅ…』
アキラはそっと親指で由梨の涙を拭い
頭を持って自分の胸に押し当てた
そのままトントンと優しく背中をさする
『アキラぁ…ふぇっ…うぅ…』
「うん…」
何が悲しくて泣いてるのか
由梨自身良く解らない
ただ、由梨を取り巻く周りの状況は
確実に変化しているのは事実で
それに着いていくのが精一杯で
気持ちが溢れてしまったのだ
『わかんないよ…っ…』
「うん…」
自分の気持ちが、わからない…
だから辛い…