君に恋した冬
第8章 乱れる関係
『大智くんと、付き合った事…
本当は嬉しいはずなのに…何か違うの』
「うん」
『なんでかな…好きだったはずなのに…』
少し落ち着いて、ポツポツと話し始める由梨を
アキラは尚も優しく撫で続ける
「それは、時間が空いてるからじゃねぇの?」
『時間…そうなのかな?』
「付き合ってるうちに、また気持ち戻るんじゃねぇの?」
『…戻るといいけど…』
優しく撫で続けていた腕にグッと力が入り
「でも、今日みたいな事されたらすぐ俺に言え」
まだ腫れ続ける傷を、アキラは怒りと悲しみが混じったような複雑な顔で見詰めた
だが、アキラのこの一言が
由梨の心を和ませていく
「俺がいるから…」
またぶわっと涙が溢れ、アキラの胸に身体を預ける
『ありがとう…』
そのまま静かに夜は更けていった