君に恋した冬
第8章 乱れる関係
今日は2人共バイトなので、夕方までに家に送って貰った
「何かあったらすぐ言えよ」
『うん。送ってくれてありがとう』
アキラの言葉の指す意味は、首の傷をつけた大智の事
その言葉に由梨は安堵する
アキラの車が去っていくのを見送り、由梨も家に入った
この時、誰かに見られて居るとも知らずに…
家に入り程なくして携帯が着信を知らせる
画面には【大智くん】の文字
心なしか身構えてしまう自分に由梨はまた困惑する
出ないといけないよね…
わかってはいるものの手がなかなか動かない
しばらく流れていた着信音が途絶え
緊張の糸が解け長い溜め息を洩らす
何してるんだろ…私…
あれほど好きだった大智が
ようやく自分の彼氏になったというのに
心の中は混乱と少しの恐怖しかなく
由梨はどうしたらよいのかも解らずに
その場にしゃがみこむ
昨日の事があったから
少しびっくりしてるだけよね…
なんとか納得のいく考えを頭に巡らせていると
長年来客の無い家にインターホンの音が響く
ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン
何…!?
凄まじい勢いでインターホンが押され
恐る恐る画面をのぞき込むと
そこには大智が立っていた