君に恋した冬
第9章 豹変する彼
声が出ず、何も答えられない由梨に
大智は少しずつ距離を詰め、ついには由梨を真下に
見下げる所まで迫っていた
「なぁ。答えろよ。さっきの誰だよ」
グイッと髪の毛を引っ張られ、顔を無理矢理上に向かせる
…怖い…!誰か…!
息をするのも忘れ、目の前の大智を凝視する
手には冷や汗をかき、身体が危険信号を送っている
「…俺に隠し事すんじゃねぇよ!!!」
パンッ…
大智に左頬を平田手打ちされ、その反動で身体が後ろに倒れる
『あ…ぁ…』
怖い…怖い…怖い…
大智は明らかに周りの様子など見えていないほど
静かに怒り狂っていた
強姦された時に初めて顔を殴られ
2度目は大好きだった幼なじみに殴られる
由梨の心に黒い影が落ち始める
「おい、聞いてんのか。立てよ、淫乱女」
『…!!』