君に恋した冬
第9章 豹変する彼
時計を見ると、そろそろ家を出なければならない時間まで迫っていた
『大智くん…私、バイト…』
「あ、そっか。ごめん…
これから俺が送り迎えするから」
『送り迎え…?』
「うん。由梨に何かあったら耐えられない。
悪い虫がつかないように、俺が守る」
大智の言葉に、まだうまく頭が回らない由梨は
安易に頷いてしまう。
『わかった…』
これが更に事を悪化させる事となるとは
幼い由梨には解らない。
大智の【守る】とは
いわば拘束と同じことだと
後になって気付くのだ
ズキズキと痛む身体をなんとか奮い立たせ
そのまま歩いてバイト先まで向かう
何やら大智が学校のことなどを話していたが
どれもこれも頭に入らなかった