君に恋した冬
第9章 豹変する彼
『…ん…』
目が覚め、身体を起こそうとすると全身に強い痛みが走る
『っ…!』
思わずお腹を押さえてうずくまると、大智の心配そうな、悲しそうな顔が視界に入る
『ひっ…!!』
やだっ怖いっもうやめて!!
先程まで大智から受けていた暴行を思いだし
頭を抱えてうずくまる
『ごめんなさい…もうやめて…!』
ふわっと大智の手が由梨の頭に触れ
ふと顔を上げると、大智の目には涙が浮かんでいた
「由梨…ごめん。ごめんな…」
『…っ』
そのまま優しく抱き締められる
「ごめん…本当にごめん…。
俺、なんでこんなこと…」
『大智くん…?』
少し落ち着いたのか、大智は以前の由梨が大好きだった雰囲気に戻っていた
「ただ、由梨が他の男といる所見て…
カッとなって…やっと彼女になったと思って
嬉しかったのに…」
静かに涙が大智の頬を伝う
「裏切られたって思ったら、もう訳わかんなくなって…」
あぁ。そうだったんだね…
そうだよね。私が裏切ったから…
彼女なのに…
「由梨。もう裏切らないで。」
静かに泣きながら由梨の目を見てハッキリ言う。
由梨もその目をしっかり見返して
『ごめんね…』
と声を出すと痛む腹部を押さえながら返事をした。
「好きだよ、由梨。愛してる」
『うん…』
「絶対離さない。由梨は俺だけのものだ」
またキツく抱き締められる。
由梨の思考回路はうまく回っていない。
私のせいだよね…
自業自得だよね…
大智くん、嫌な思いさせてごめんね…