君に恋した冬
第10章 一筋の光
「しばらくお前の携帯は俺が預かる」
『…』
もうどうでもいい
好きにして
「また掛かってきたら面倒だしな。
いる時は言って。渡すから」
『…』
「今日バイト休みだろ。さっきシフト表コピーしたから」
『…』
「おとなしく家に居ろよ。出て行こうとしても
すぐわかるからな」
『…』
「チッ」
バタンッ
舌打ちをして勢いよくドアを閉めて
由梨の携帯を持って大智は帰って行った
殺風景な部屋に
ボロボロの少女がポツンと取り残される
『アキラ…』
会いたくてどうしようもないのは
助けて欲しいから?
それとも、アキラの気持ちを知りたいから?
『わかんないや…』
消え入りそうな声で呟いて
また深い眠りに落ちる