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君に恋した冬

第11章 裏切り




「赤い髪の毛の男」



『!!!』



アキラ…?

アキラが加奈子ちゃんのところに…?



『どうして…』



困惑する由梨に、加奈子が目を逸らして続ける



「お前が裏でこそこそしてるのは解ってる。
あいつがあの男とくっついて幸せならそれでいい。
でも、あいつに何かあったときは、お前もただじゃおかない。
その覚悟は出来てるかって…」



アキラ…そんな…どうして…?



「お前は今あいつがどういう状況か知ってるかって訊かれた」


大智が僅かにビクッと身体を震わせる


「だから…この前こっそりここに来たの」


加奈子は目に涙を浮かべ、こう続けた



「窓から…見えてた…あんたが…


蹴られているところ…」



由梨の瞳からも、加奈子の瞳からも
堰を切ったように涙が溢れ出す



「確かに私は、あんたから大智くんを取り返したかった…

でも…あんなこと…されるだなんて…」



そう言って加奈子はへたりと手を地面についた


「怖くなって…逃げるように帰ったら
あの男が家の前にいたの…」


アキラの事…?



「覚悟はいいかって…」



『…ぅ…っ』



良くわからない感情に涙が止まらず嗚咽を洩らす



「何もされたくなければ、大智くんを止めろって…
止められるのはお前だけだって…

もし止められなければ、私も大智くんも殺すって…」



出会った頃のアキラを思い浮かべる
あのアキラなら言いかねない一言だ




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