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君に恋した冬

第11章 裏切り




大智は力なく頷いた


『でも…私も、悪かったから…ごめんなさい…』



アキラと黙って会ったことは確かに悪かった
由梨はそれを自責していた


「…ごめん」



ポツリと呟いて、大智は由梨から取り上げた携帯を
ポケットから静かに取り出し、由梨に差し出した



「番号…本当は消してない」



『!!』



その言葉を聞いた瞬間
由梨の心臓はドクンドクンと脈を打つ



アキラ…会いたい…!



「由梨ちゃん…本当はずっと、あなたが羨ましかった。
大智くんと幼なじみで、家も隣同士で、惜しみなく愛されていて…

だから私は、あなたになりたかった…」



加奈子は泣きながら由梨の手を握る
由梨もまた泣きながら手を握り返した



「憧れていたの…あなたにずっと…

本当に、ごめんなさい…」


ぶんぶんと首を横に振るのが精一杯だった

そんな由梨を見て加奈子は続ける


「やっぱり由梨ちゃんは善人面してるわ。
こんな事されてたって知っても怒らないもの…

やっぱり私はあなたが嫌いよ…」



そう言って悲しそうに笑った



そこでやっと浅井が口を挟む


「この人は、怒りよりも悲しみの方が大きいと思う」



その一言に、その場にいた全員が黙り込む







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