君に恋した冬
第12章 そしてまた一つ
『浅井くん、本当なんかごめんね。
変なことに巻き込んじゃって…』
「別に…乗りかかった船ついでだし」
『…』
「だから気にすんな」
ふわっと優しく笑う顔を見て
少しだけ落ち込んだ気持ちも軽くなる
あれから程なくして、加奈子と大智は
最後まで由梨に謝りながら出て行った
そしてまた、由梨にとって気がかりな事を言われる
「あいつがここに来なかったのは、俺のせいだ」
大智が去り際にボソッと呟いたこの言葉が
由梨の心を静かに騒がせていた
どういう意味だったんだろう…
家に入れなかったという意味…?
不意に浅井がスクッと立ち上がる
「じゃあ、俺もそろそろ帰るけど、
あんたもう1人でも大丈夫?」
『あ…うん。大丈夫だよ』
「何かあったらまた連絡してきなよ。
俺の番号これだから」
そうこうして、連絡先を交換してから浅井も帰って行き
広い家にポツンと1人取り残される
今でも信じられないが
身体にある無数の痣が嘘では無いことを物語る
結局、私は誰の気持ちも考えずに
自分のことしか見えてなかったのね…
その結果が今の状況に繋がるのは
何とも酷な話としか言い様がないが。
ふと時計を確認し、まだ2時を少しまわったあたりなのを見て
急いでアキラに連絡する
アキラ…会いたい…
どうしても、会っていろいろ確かめたかった