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君に恋した冬

第12章 そしてまた一つ




そう思った時にはもう遅かった


アキラの一つ一つの動作を全て目で追っていて
ドキドキとうるさい心臓も鳴り止む気配はない


私…アキラが…好きなんだ…



アキラはキッチンに立ってコーヒーを淹れている
少し伏し目がちな顔をしているアキラは
本当に画になるほどの顔の持ち主で
意識した途端に目も合わせられないほどドキドキする


やだ…私…おかしい…

落ち着かないと、変に思われちゃう

落ち着け、落ち着け由梨…



自分で自分を抑えようとすればするほど
気持ちは高まる一方で


戻ってきたアキラの顔はもちろん見ることが出来なかった



「…どうした?」



ほら!やっぱり変に思われてる!
今まで私、どんな態度で接してたっけ…?

あーもぅ!わかんないよぉ!



恥ずかしいやら何やらで焦る気持ちだけが先走る


そんな由梨にアキラはまた少し距離を詰め


「顔赤い…熱でもあるのか?」


と、自らのおでこを由梨のおでこにくっつけた



『ーー!!!』



思わずビクッと身体が硬直する


心臓はもはやドキドキどころではなくバクバク鳴っている


アキラは伏せていた目をすっと開け、由梨を見つめる

由梨も吸い込まれる様に見つめ返し、目が離せない




やだ…どうしよう…顔近いよ…




アキラはクスッと笑って


「なに?」


とイタズラっぽく言った



からかわれてる…!!



反射的に身体を離し
『何でもない!』と強く言って顔を背ける



まだまだ落ち着きそうもない心臓を
必死で胸を撫でて息を整える



「由梨、何食べたい?」



そんな由梨を余所にアキラは愉しそうに訊いた





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