君に恋した冬
第12章 そしてまた一つ
それから陽は傾いてすっかり辺りはオレンジ色に染まっていた
あれから相変わらずアキラの行動全てに目がいってしまい
ひたすらドキドキしていた由梨は
そんな自分に少し疲れていた
「じゃあ俺バイト行ってくるけど、ここに居ろよ」
トクン…とまた胸が鳴る
ここに…居てもいいんだ…
そう思うと嬉しくて、パッと笑顔になる
そのままニッコリ笑って
『うん。行ってらっしゃい』
そう言った由梨の頭にアキラはポンっと手を乗せ
そのままバイトに出掛けて行った
なんか…新婚さんみたい…?
そう考えた自分にまた恥ずかしくなる
ダメだよ。普通に…普通に…
はたから見ればさっきからずっと由梨は百面相をしている
アキラ…早く帰って来ないかな…
少し手持ち無沙汰になりながらも
今自分はアキラの家に居るということが嬉しくて
そっとソファーに腰を下ろして目を瞑る
良かった…また会えて…
程なくして由梨はまどろみに引きずり込まれていった