君に恋した冬
第12章 そしてまた一つ
『…もう無理…』
若干、満腹からの吐き気を覚えながらアキラに告げる
病み上がりの由梨にピザは重く
もともと食が細いために4切れで限界だった
「え!?早すぎねぇ?」
『…うぇ…』
口元を手で覆いながら大袈裟に無理アピールをする
「じゃあお仕置きだな」
また意地悪く笑うアキラに顔が一気に紅潮する
こんなにかっこよかったっけ…?
『お仕置きって…何?』
少し期待している自分もいる事に
由梨は更に恥ずかしくなり頬を染める
「今日1日俺の言う事を何でも訊く」
『っ!?』
何でもって…
『ねぇ待って。これは明らかに私が不利な勝負じゃない?狡いよそんなの』
少し頬を膨らませて言う
「受けたおまえが悪い」
アキラは楽しそうに笑っていた
こんなゆったりとした時間がまたくるなんて
思って居なかった由梨は
ぎゅっと胸を抑えて少し目頭が熱くなる
また…アキラに会えて良かった…
心からこの些細な幸せを噛みしめていた