君に恋した冬
第12章 そしてまた一つ
お風呂からあがると、部屋には香ばしい良い匂いが充満していた
そっとリビングを覗くとテーブルには
Lサイズのピザが2枚も置いてあった
『お風呂、ありがとう』
声をかけるとアキラがこちらへ向き
早く来いと手招きする
『この量…』
しばし呆然と見つめる由梨にアキラは
「これ、全部食うぞ。無理だったら…」
そのまま少し意地悪な笑みを浮かべる
『…無理だったら…?』
何をされるんだろう…と
どこか期待している自分もいた
「その時考える」
ニッと少年っぽく笑うアキラに胸が高鳴るが
誰かに似ている…と心のどこかで思った
「冷める前に食うぞ」
『あ、うんっ』
そのまましばし無言で、黙々とピザを食べ続けた