君に恋した冬
第14章 新学期
あれから夏休みはあっという間に終わってしまい
新学期が始まった
由梨の身体の痣もすっかり消えてなくなり
少しずつ元気を取り戻した由梨は
元の体重に戻りつつあり、平凡で穏やかな毎日を送っていた
『いらっしゃいませ』
バイトにもかなり慣れてきて
バイト仲間ともうまくやっていて
申し分のない毎日過ぎて
夏休みのあの怒涛の一週間が嘘の様に思えてくる
でもやっぱり、親友の裏切り
幼なじみの歪んだ愛は、由梨の心に深く突き刺さったまま
忘れることはなかった
『えーと、ただいま満室でして…』
キーボードをカタカタと慣れた手つきで弾く
『待ち時間が45分ほどかかりそうなんですが…』
「えー!?そんなに!?
ちょっとどっか空いてる部屋ないのぉ!?」
金髪の髪をくるくる巻いて
目の周りは真っ黒で、肌の露出もかなり多い
気の強そうな女4人にすごまれる
『いえ、どのお部屋も空いてなくて…』
「フリータイムの奴とか絶対いんだろ!そいつら出せよ」
ひっ…怖い…こういうタイプの人は苦手だよぉ…
困り果てていると
「お客様。他のお客様の迷惑になる行為はお辞め戴けますか。」
低い声が頭の上から鳴り響く
さすがに大きな男の人に若干睨みながら言われると
いくら気が強いと言っても所詮は女
諦めて文句を言いながら出て行った
『ありがとう…恭介』
「あんたほんとよく絡まれるね」
フッと笑いながら恭介はお盆に乗ったパフェを片手で器用に運んで行った