君に恋した冬
第15章 交差する思い
チュン…チュンチュン…
『ん…』
鳥の鳴き声で目が覚め、横を見ると
まだすやすや寝息をたてるアキラがいた
昨日…確か途中で…
そっと起こさないように身体を起こし浴室へ向かう
久しぶりだったのに、何度も求められ
下半身に鈍い痛みを感じる
でも、その感覚が由梨には幸せだった
アキラとセックスしたんだという証拠だから
シャワーを借りて部屋へ戻ると
アキラは起きたようで、コーヒーを用意してくれていた
「おはよ」
『…おはよ』
昨日の情事が思い出され、思わず恥ずかしくて目を逸らしてしまう
昨日のアキラは本当に意地悪だったな…
そう考えると余計に顔が熱くなってくる
クスッとアキラの笑う声が聞こえ、そちらを窺うと
朝陽に照らされたアキラは優しい笑顔でこちらを見ていた
「顔、赤すぎ」
『!だ、だって…』
手で手招きされて、アキラの横に腰掛ける
自然にフワッと頭を撫でられ
「昨日の由梨はすごかったなー」
ニッと由梨の大好きなイタズラ少年のような笑顔でこちらを見る
ドキンッと心臓が跳ねる
『あ、あれは、アキラが…!』
「いやー、あれは由梨自身燃えてたっしょー」
『なっ…!違う!違うもん!』
バシバシとアキラの胸の辺りを叩いて照れ隠しをする由梨の頭を、アキラはクスクス笑いながら撫で続けていた
この時間を…幸せを壊したくない…
好きって言ったら、アキラは私を捨てる…?
お互い気持ちがなくて、その方が都合がいいから
だから側に置いてるだけ…?
アキラを失いたくない恐怖から
自分の気持ちを伝えることが出来なかった