君に恋した冬
第17章 真実への階段
あれから由梨は涙を流すこともすっかり忘れて
恭介と一緒に、夜の肌寒い公園にいた
寒さすら感じない程に、由梨は呆然と一言も発さずに虚空を見つめていた
恭介も何も言わずに、ただ隣に居てくれる
あぁ…こういうところ
ずっと誰かに似ていると思っていたけれど、
アキラに似ていたんだ…
そうだよね、2人は兄弟なんだもの…
どこか陰のあるような、つかみ所のないところもそっくりだね
覚悟は出来ていた……はずなのに
面と向かって断られちゃうと、やっぱり
涙を堪えることが出来なかった…
あ、恭介もこんな気持ちだったのかな…
──俺は、由梨とは付き合えない──
私とは…付き合えないって事は、
他の人ならいいって事…?
私が子供だから…?泣き虫だから…?
重たいのかな…
もう会えないの…?
やっぱり言わなきゃ良かった…
ずっと側にいたいよ…
考えは堂々巡りする一方だった
しばらく経ってから恭介が不意に口を開く
「あんたの好きな奴って…兄貴だったのか…」
2人とも前を見て、お互いには視線を向けずに小さな声で話し出す
『うん…びっくりしたよ…まさか恭介のお兄さんだったなんて…』