君に恋した冬
第17章 真実への階段
結局家に帰ってきてしまった由梨は
お風呂にも入らずソファにうなだれる
冷えた身体を暖める事もせずにぼーっとする
こんな時…家族が居たら
少しは気が晴れるものなのかな…?
誰もいない家の中にぽつんと1人の少女が居て、
その空間は余りにも冷たくて広すぎた。
手に持ったキーケースにふと目をやると
アキラから渡された合い鍵がチャラっと静かに音をたてた
鍵…返さないと…
また会える口実があることが嬉しい
だけど、それでもう二度と会えなくなると思うと
鍵を返したくなくなった
返さなきゃ…ダメだよね…
恭介…ごめんね…
ちゃんと帰ったかな…?
おいてきてしまった恭介の事を考えて少し反省する
気がついたときには深い眠りに誘われていた