君に恋した冬
第17章 真実への階段
それからというもの、なかなか返しに行く勇気が出ずにダラダラと過ごしてしまって
あれから1ヵ月が過ぎていた。
恭介は、変わらず由梨に優しく接してくれていた。
無理に距離を詰めることはなく、由梨のペースでゆっくりと話しかけてくれていた。
でも、アキラからは何の連絡も来ず、
由梨の心はすっかり塞ぎ込んでしまっていた。
空元気を振りまく由梨は、人形のような
作り物の笑顔しか浮かべなくなっていた。
学校とバイトを毎日両立させることで
寂しさを紛らわしていた。
「お疲れさま!また明日ね」
歩美が由梨の肩をトンッと叩いて声をかけてくる。
『お疲れさま。』
由梨もそれに笑顔で応える。
歩美はそんな由梨を少し悲しそうな顔で見つめてから、ある提案を持ちかけた。
「ねぇ!この前の合コンの話覚えてる?
1回でいいから来なよ!私がちゃんとフォローするからさっ」
とにかく由梨を元気づけたい一心で歩美は必死に説得しようとする。
『合コンかぁ…』
もう…アキラにフられちゃったしな…
あ、でも恭介が怒るかな…
「気分転換ぐらいな感覚でさ!楽しいよー!」
ニコニコと小さくガッツポーズを作って元気に話しかけて来てくれる歩美が、今の由梨には何よりもの救いだった
恭介の気持ちには応える事が出来ない…
それならいっそ、嫌われた方がマシなんじゃ…
邪な考えが頭を過ぎる。
『じゃあ、1回だけなら…』
その言葉に歩美は目を輝かせて喜んだ
「本当!?やったぁー!
由梨のために超イケメンばっかり揃えるからね!」
歩美のこの笑顔を見れるなら
1回くらいなら合コンに参加してもいいように思う
「楽しみにしててね!いーっぱい盛り上がろう!」
『うん、そうだね。ありがとう。』
友達の存在は本当に有り難いなと
しんみり思う由梨だった。