君に恋した冬
第18章 想いにさよなら
由梨が目を覚ましたのはそれから2時間程過ぎた頃だった
『ん…』
「あ、白川さん!そのまま寝てて下さいね!
起き上がっちゃ駄目ですよ」
すぐ真横には看護士が立っていた。
まだぐるぐると頭が回る感覚で気持ち悪さを覚える
『あ…赤ちゃんは…?』
それだけが気がかりだった。
「大丈夫。今は安定していますよ。
1568グラムの元気な男の子でしたよ」
『男の子…』
産まれるまで性別は楽しみにとっておいたので
今日初めて子供の性別を聞かされた
「ただ、油断は出来ない状態です。
今は保育器に入っていますので、これからしばらくは入院という形になります。」
『…大丈夫なんですよね?』
不安になり、まくし立てるように話す
「こういうときは、お母さんがしっかりしていないと駄目ですよ。
じゃないと赤ちゃんが不安になってしまいます。」
お母さんという響きに少しくすぐったさを覚える
「とにかく今はご自身の身体を元気にすることに集中しましょう。
今日1日は絶食です。明日から少しずつ流動食を始めていきます。
明日中も安静にしていてください。
起き上がってはいけませんよ。」
それから今後のスケジュールを説明された。
赤ちゃんに会えるのは明後日ぐらいになるんだそうで、すぐにでも会いたい気持ちを抑えるのに必死だった。
赤ちゃん…早く会いたい…