君に恋した冬
第18章 想いにさよなら
やはり看護士の言ったとおり子供に会えたのは3日後だった。
まだフラつく足元を、必死に一歩一歩踏みしめて歩いた
NICU…絶対安静の赤ちゃんが入る場所
そこには由梨の子供以外にも早産で生まれた子
重い病気を抱えている子
そしてその子供達の両親が自らの子の傍らで
にこにこと話しかけていた
由梨の子供は部屋のいちばん奥の列の真ん中にいた
保育器に入ってすやすや寝ている姿に
由梨は一言も発することが出来なかった
小さい…
こんなに小さな身体で…
あなたも必死に生きようとしてくれているのね…
一緒に頑張ろうね…
目に涙を浮かべて、そっと保育器に寄り添い
『お母さんだよ…』
そう声をかけた
泣いちゃいけない。
泣いている暇なんてない。
この子は今必死に生きようとしている。
私がしっかりしないといけない。
これが母性というものなのだろう。
由梨はきゅっと口を閉め、涙を拭き取った。