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君に恋した冬

第19章 過去




おばさんから差し出された物を受け取って、それに目をやると


『これ…!』



「これは、私達とあなた達の家族写真」



アキラに山へ夜景を見に連れて行って貰ったときに
偶然山小屋で見つけた写真と同じものだった。


───ズキッ!!!



またあの時と同様に頭に激痛が走り
思わず由梨は写真を落とし、地面に手をついてしゃがみこんでしまう



恭介は慌てて由梨に寄り添った



「母さん!やっぱりまだ…」


「由梨ちゃん…ごめんなさい。本当にごめんなさい。」



何…何なのこれ…頭が割れそう…

それに、どうして謝られているの…?


「あなたのお母さんとお父さんは、左側に立っている2人よ。その前にいる女の子が当時のあなた。」


見れない…写真を見ると…頭が…!


「そして、あなたの右側に立っているのが恭介。

あなたの左側が、晄(あきら)よ…」


アキラ…?見たい…見たいけど…


ズキン ズキン ズキン


定期的に頭を鈍器で殴られているような痛さに目が眩む



「由梨ちゃん…晄を…許してあげて…」



おばさんの声は震えていた


おじさんも歯を食いしばってキツく手を握り締めていた


恭介も、無意識に由梨を支えていた手にグッと力が入った



「あの子の分まで…私が死ぬまで償うから…
どうか晄を許してあげて…」



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