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君に恋した冬

第19章 過去



アキラの家へ向かう車中、由梨は何度もアキラを盗み見ていた



運転しながら窓に肩肘を着いて、片手で運転する癖
そのまんまなんだね…


たった一年会っていないだけで
もう何十年と会えなかった気分だった


横顔…すごく綺麗


やっぱり画になるなぁ…


あなたの子供がいるんだよって言ったら
アキラはどんな反応するかな…



未来…この名前も、気に入ってくれるかな…



懐かしい風景をしっかりと噛みしめながら
2人を乗せた車はマンションの駐車場へと辿り着いた



助手席から降りると、立ち上がった拍子にまた傷が痛む


『…っ』


変に心配をかけないように、その痛みを我慢して
必死で平静を装った



エレベーターに乗り、5階のいちばん奥の部屋の前でアキラは鍵を取り出して、ガチャッとドアを開けた



「…ん」



ドアを支えながら先に入れと促すアキラに


『お邪魔します…』



久しぶりのアキラの部屋へと足を進めた




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