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君に恋した冬

第19章 過去




しばらく経ってから、アキラが不意に口を開けた


「俺に…言いたいことあるんじゃねぇの?」


『え……』


言いたいこと…子供のこと?
でもそれはバレていないはずだし…


「散々やるだけやって、捨てた男だぞ。文句の一つや二つあってもおかしくねぇだろ」


自嘲気味に笑うアキラは少し寂しそうに見えた


『文句なんて…』


一度も思った事は無かった



『ただ、あの時のアキラは…全部嘘だったの…?』


一番それが気がかりだった




ふぅと息をついて、アキラは真剣な表情でこちらに向き直り、ハッキリと由梨に告げる


「嘘は…一回も言った事はないし

あの時由梨と居られた時は、すごく幸せだった」



幸せ……



『……本当に…?』



コクリとアキラは頷いた



『じゃあ…どうして……』


意を決した様に、アキラは



「俺が…今から話すことを聞いたら
多分お前は俺を嫌う。」


私が…アキラを嫌う…?


「それが怖くて、ずっと黙ってた…」


また視線を窓の外に向けて、苦しそうな表情を見せる


『話して…アキラ…』



それから、アキラの少し長い話が始まる



真実の扉をこじ開ける事となる──…




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