君に恋した冬
第20章 真実に辿り着いて…
「だから…本当は俺の事…お前は殺したい程憎んでるはずだ」
長い長いアキラの話が終わって
由梨は頭の中が混乱していた
何が何だか…父親が虐待…母親が自殺…
アキラのせい…?
『……っ』
自分の意思とは関係なく涙が頬を伝った
どうして…別に悲しくもなんともないのに…
勝手に涙が…止まらない…
その様子を見たアキラが顔を歪めて苦しそうに
「…ごめん…」
そう呟いたアキラの目にも涙が滲んでいた
『……!』
ふるふると首を横に振って、止まらない嗚咽を必死で抑える
わからない…何も、思い出せない…
私は両親の顔も知らなかった
でもそれは記憶失っていたから…
おばあちゃん達がそう教えたから…
アキラを許してあげてって言ったおばさんの言葉は
こういう事だったの…?
涙が流れるのは…身体が覚えているから…?
しばらく由梨はその場で静かに泣いた
アキラも、ロッキングチェアに腰掛けたまま
膝の上で拳を作って堅く握っていた
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