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君に恋した冬

第20章 真実に辿り着いて…




「一気にいろんな事言われて…困ると思う…。

一人になりたかったら、俺外出とくから」



そう言ってアキラが席を立とうとした



待って…今、1人にしないで…



『待って…っ』



言いかけて立ち上がろうとしたとき、また傷が痛んで顔を歪めてしまう



アキラはまた怪訝な表情を浮かべて



「…どうした?」


一歩一歩近付いてくる



『な…んでも』

「ないわけねぇだろ」



有無を言わさない表情で由梨を真っ直ぐに見つめる



「さっきも同じ様な感じだったよな。
はっきり言えよ…どうした?」


心配そうな顔をして、由梨の揺らめく瞳を覗き込む



ダメ…言い訳が…

頭が混乱してて思い浮かばない…



このタイミングで…言っても良いことなの…?



押し黙ってしまう由梨にアキラは少し寂しげに



「…俺には…言いたくないよな…」



ボソッと呟いた




その言葉に胸をえぐられる様な感覚に襲われる

違う。そんな事ない。

いつだって私を想ってくれていたアキラを

私は嫌いになんて…なれない


例え過去にそんな事があったとしても…

今の私は、アキラを嫌う事なんて

憎む事なんて…出来そうにもない…



『違うよ…私は…アキラだったから…
何でも頼って甘えてた…』



キュッと目を瞑って

小さな声で告げた



『…傷が…痛むだけだから…』




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