君に恋した冬
第20章 真実に辿り着いて…
その言葉に、一瞬時間が止まった様に辺りはしんと静まり返った
一拍の間を置いて、アキラが戸惑いが見え隠れする声音で呟いた
「……は?」
言っちゃった…もう後戻りは出来ない…
『…子供がね…出来てたの。一年前…』
アキラは…どう思うかな…
『アキラの子だよ…。どうしても産みたくて…
誰にも内緒で出産した…みんなはこの事を知らない』
言うつもりもなかったけれど…
アキラが私の事でずっと苦しんでて…
ちゃんと向き合ってくれたから…
『でも…予定より2ヶ月も早く産まれてしまって…
まだ保育器の中に入ってて…小さくて…』
そこで、我慢していた子供の事に対する不安が溢れて涙が流れる
『わた…し、しっかり…しなきゃ、って…』
しゃくりあげる様に泣くと
アキラの逞しい腕でグッと前を向かされた
その表情はすごく怒っていて
やっぱり言わなきゃ良かったと思った瞬間
「何で俺に言わなかった!!」
初めてアキラに大声を出された
そのままグッと引き寄せられて、大きなその胸にすっぽりと収められる
「…何一人で…勝手に頑張ってんだよ…バカ」
心なしかアキラの声も震えていた
アキラ…ずっとこうして欲しかった…
妊娠中もずっと不安で…
生まれてからはもっと不安で…
あなたにこうして抱きしめて貰いたかった…
『あ…きらぁ…』
やっぱり…どんな過去があったとしても…
今の私はアキラを憎む事なんて…出来ない…