君に恋した冬
第20章 真実に辿り着いて…
由梨は鞄の中からそっと一枚の紙を差し出した
「…これ…」
その紙を見てアキラは戸惑いの表情を見せた
『出生届…退院したら提出しようと思ってたの。』
子と父の名前の欄はまだ空白だった。
アキラはゆっくりと視線を上げて
恐る恐る口を開いた
「…俺で…いいのか…?」
由梨はそっとアキラの手に自分の手を重ね
『…アキラがいい』
にっこりと笑った
アキラはまた黙って俯いて
「子供に…会いたい…」
『うん…行こう…』
由梨とアキラはしっかりと手を握って病院へ向かった
二人の愛の結晶である、未来の元へ──…