君に恋した冬
第20章 真実に辿り着いて…
それからまたすぐいつもの無表情に変わって
「…俺の両親に、会ってくれるか…?」
『え…』
そうか。アキラは知らないよね…
『あの…実は今日、アキラに会う前に偶然会っていたの』
少し驚いた顔になったけど、またすぐ無表情に戻る
「そうか…。じゃあ、もうわかってるよな…」
『アキラのお母さん…あんまり良くないみたいだね…』
「……末期ガンだ…」
それを聞いて由梨の手が少し震えた
「もう一度、会ってくれるか?」
『もちろん…何度でも会うよ…。だって、私が小さい頃は…すごくお世話になっていたんでしょう?』
少しでも話し相手になれればいいと思った
『お金の事も…お礼を言わないといけない…
母のことも…』
「それは俺が悪かったから…由梨がお礼なんておかしいだろ…」
少し気まずい空気が漂いだした
やだ…なんだかすごく嫌な空気…
私はアキラを憎んでなんかいないのに…
『早く行こう?日が暮れちゃう』
「あぁ…そうだな…」
重たい空気を振り払うため、由梨はわざと明るく言って、アキラの母の病室へと足を進めた